パソコンひとつで行うモノづくりを生業にしていると、友人・知人から仕事の相談を受けることは日常的にあると思います。
そして、近い関係性だから故に“なあなあ”で仕事を受けてしまい、結果的に面倒な仕事になった経験はないでしょうか。
特にデザイン業務はよく軽視される傾向にあります。「日本は感情的価値を見出さない」とよく言われ、もはや“あるあるネタ”にもなっていますよね。
私の見解として、デザイン価値の理解者が少ないこと自体には問題を感じていません。「簡単でいいからサクッとお願い」という常套句もある意味、“分野外だから価値が分からない” ので致し方ないかな、と。
たとえば「車」は高価なものです。
そしてその高価なものへの理解は世間一般的にあります。
これは車の製造工程や使用材料をおおよそ理解しているから。
次に「ECサイト」。
ECサイトがどういった構成で成り立ち、完成に何が必要なのかを理解している方は世間的には少ないです。
だからこそ「テンプレートみたいなの使って簡単に作れるっしょ」となんとなーく解釈することも理解することができます。
話が少し逸れてしまいましたが、これが友人・知人の場合であれば尚更起こりやすくなります。
そこで、これまでの経験を踏まえて「いくつかの共通フラグ」を抽出してみることにしました。クリエイティブ業で働いている方で、友人・知人から仕事を受ける場合の参考にしていただければと思います。
1. とりあえず会って話を聞いて欲しい
これ、何気なくしている方多いと思いますが、ほんと無駄です。
知り合いだから資料を用意しなくていいわけではなく、知り合いだからこそ用意すべきです。
友人・知人へ仕事を依頼するメリットはこの2つ。
- お互いのパーソナルな情報への深い理解
- 関係性の構築
この2つの作業が不要だからこそ+αのオプションサービスが期待できます。
このメリットを得るためには最低限の与件整理は出来ていないと、GIVE and TAKEの原理からはみ出し、仕事として良い付き合いは出来ないでしょう。
2. こちらから聞かないと予算の話が出ない
友人・知人からの仕事を受けるデメリットは、心理的に予算の話をしづらいことです。また依頼側から予算の話が出ない場合、当たり前のことですが「低予算」のケースが多くなります。
勘違いしてほしくないのは、予算が低いことに問題があるのではありません。予算が低いということは「それほど難しいことではないけど、仕事として考えると儲からないこと」です。
加えて・・・
その分野の事は分からなくて…
こっちで情報は用意するんで…
部分的にでも良いから…
と、作業を減らして予算を削ろうとする場合。
これは結果的に「誰でも良いから作り手が欲しいだけ」のケースが非常に多くなります。友人・知人の中から「あなたにお願いした理由」を考えるとわかりやすいでしょう。
3. そもそも“時間の重み”が違う
友人・知人との仕事は非常に楽しいものです。
プライベートとの垣根もあまりなく、知らない間柄ではないからこそ、どうにか予算以上のものを提供してあげたくなります。仕事の合間やプライベートの時間を利用して、お互いの時間を共有することが何よりもの醍醐味だと思います。
しかしその分、時間の消耗は通常よりも激しくなります。大げさかもしれませんが、あなたが「プロとして」仕事を受けたいのであれば、その対価は必要です。お互いに相手の時間を奪うようになってしまっては、その時間が無駄になってしまいます。
時間の長さは誰にでも平等ですが、価値や重みはあなた次第で決まります。
まとめ
今回の内容について、ちょうどベイジの代表 枌谷さん(@sogitani_baigie)も近い内容のことを言及していました。
クリエイティブ業では、このあたりの話はずーっと討論していますが、依頼側に理解を求めるものが多く見受けられます。
しかし実際には、請負側がプロしてどこまで線引できるかで簡単に解決することだと思っています。
もしあなたが友人・知人から仕事の相談を受ける際、この内容を少しでも思い出して、参考にしていただければ嬉しいです。