ライフログ

バイクとの出会い

昔を懐かしんでバイクとの思い出を綴ってみようかと。

はじまりはタンデムから

2009年、25歳の冬。

私は当時高校の同級生”ふっさん”とルームシェアをしていました。ふっさんとは、服の趣味や聞く音楽、価値観や生活スタイルまで、お互いシンクロする箇所も多く、結果的に18歳から28歳まで、約10年間同じ時間を共にしました。

そんな親友のふっさんが、ある日突然フラッとバイクの免許(中型バイク:中免)を取り、バイクに乗り始めたのです。元々中免には興味があったらしく、生活も安定してきたので免許取得の行動に移ったようでした。

私はというと、バイクに興味はありましたが、中型バイクにはどうも苦手意識がありました。
というのも、実は・・・速い乗り物が怖いのです。遊園地でもジェットコースターに乗れません。スピード恐怖症というか、身体がふわっとするのが苦手というか。。。

そんなことから、周りの影響は比較的受けやすい方ではありましたが、バイクに関しては「原付きで十分」といった考えがいつもありました。

年末年始は大阪から実家のある香川へ帰省するのが、毎年の恒例。香川へ帰る手段には、当時は車を持っていないかったため、高速バスか神戸からフェリーの2択で、いつも私たちはフェリーで帰っていました。

しかしバイクを手に入れたその年にはじめて、「バイクで帰ろう、2人乗りで」と提案があったのです。

買った本人からすると、そりゃー乗りたいだろうし上機嫌なわけなんですが、興味のない私からすると、ただ寒いだけ。当時の私には理解できない価値観でした。

そして、ふっさんのゴリ押しに渋々納得し、バイクで帰ることになったのです。

200kmの旅

距離としては200km程度とそれほど長くはないショートツーリング。大阪からは深夜に出発し、朝方には四国上陸の予定で旅は進んで行きました。

バイクに乗っている方、または冬場にタンデム経験した方ならわかるかも知れませんが、冬場のバイクって“絶するほど寒い”んです。

いくら着込んでも突き抜ける風の冷たさ。震えが止まらない足、そして感覚の無くなる足先。とどまることを知らない鼻水。こめかみを締め付けるほどの頭痛。(これはいつも謎)

運転していない分、これらがより一層強く感じるのです。また私の場合、これに「恐怖心」もプラスです。

深夜に出発したのもあり、四国上陸まではただただ寒く修行のような辛い時間が流れていきました。

四国に上陸し、一息のマクドナルド。ここでようやく旅の半分100kmを終えていました。

人生初のツーリング。旅の半分を終え、どうだろう?と自問自答をしても結果は同じで「楽しくない」でした。

そりゃあ、そうでしょう。バイクにあまり興味のない人間が、タンデムで正月の深夜に高速を走って喜ぶ人がどこに居るのか?と。

そして地元温泉街を練りまわる

その後、日が昇ると同じように、故郷香川へバイクを再び走らせました。太陽が顔を出すと自然に気温も上がり、多少は寒さが軽減したように感じられ、嫌悪感は自然と薄れていきました。

地元へは高速で一本なのですが、100km程度というのもあり、途中で高速を降り、地元で有名な温泉街を練り回ることにしました。
※実際には練りまわるというよりも、無料の足湯を探そう、という根端

少し山深いところにある温泉街には雪も所々に積もっており、川の水も冷たそうに音を立てていました。

旅館や源泉から立ち昇る湯気を横目に、足湯〜足湯〜、とトコトコバイクを走らせていた時、私の中で何かが変わっていきました。

なんだ、このワクワク感は?

いや、これは足湯を探している、という冒険心に対するワクワクだ。

・・・ち、違うぞ、俺は何か今体験している。

何なんだ、この湧き上がるような熱気は。

そこには、空気に触れる音を聞き、温度を肌で感じることに喜びを感じる自分が居ました。自分たちが前に進めば、景色が変わり、音・風・冷気が比例するように変化する、この構図にすっかり魅了されていたのです。

そういった衝撃もあり、実際「足湯には入ったのか?」との質問に対して、一切返答が出来ない自分がここに居ます笑

体験することの価値は何にも変えられない

最近、よく思うことがあります。それはツーリングで得られる体験価値は何物にも置き換えられない、ということ。

ツーリングには時間も体力も(なんなら危険も)要します。

結婚し、子どもが2人も出来るとバイク生活が遠ざかっていくのも実際のところ。環境や生活スタイルによって実現可能な方も居ますが、私の場合は我が子の今の時代は今にしかない、と思うとどうしてもバイクを走らせることが出来ません。

しかしツーリングで得られる体験は今でも時々思い出し、自分のタイムラインに重ねて酔いしれる日もあります。これらは今でも自分の人生を豊かにしてくれたと誇れる思い出になっています。

バイク乗りの先輩からすると「今はバイクに乗らずとも将来乗る時が必ずやってくる」と言います。

つまりリターンライダー予備軍として、肩を温めておけ、ということ。

その時に向け、五感を通してより体験価値を高められるように、自分も日々アップデートしておこうと思います。

・・・と、つらつらと書いていたら、昔観た「モーターサイクル・ダイアリーズ」を思い出した( ´θ`)ノ

モーターサイクル・ダイアリーズ

ではまた。

Takanobu Maruyama

UNIONNET Inc. CEO, PR planner
mitone design. Art director, Designer
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