
経営者のベテラン社員への忖度は、若手社員のやる気を阻害し、会社を滅ぼす
“これまでの努力が徐々に評価される年になる”
これは初詣のおみくじに書かれていた言葉。おみくじや占いへの信仰心のない自分が珍しく頭に残しているフレーズです。(残している、というよりも「期待している」のかも)
努力が評価されているかどうかは別として、平成最後の今年はなかなか良いスタートを切っている気がします。
自分が経営者になって“会いたい人・話したい人”に会えました。
そして、自分が今の会社で社員の頃から成し遂げたかったオフィスの移転も行えました。
その他にも、昨年から地味にやってきた執筆活動の効果もあり、求人の応募やTwitterからのDM相談も少しづつ増えてきました。不思議なもので、人はそういう時こそ信じる力が強まるものです。(おみくじにも書いてたもんなぁ〜、と)
新たな組織づくりで起こったベテラン社員の「小さな違反」
とは言え、良いこと尽くめでもありません。
例えば、オフィスの移転は第二創業期としての新たな組織づくりのひとつです。会社のブログでも紹介しましたが、オフィス移転に関しては来社頂いた方への現場の見える化をテーマにしています。
サイト制作に対する価値が表面的にコモディティ化している中、依頼側からすると会社のホームページや制作実績をみるだけでは、業者選定し兼ねる事もあるかと思います。新オフィスではそんな不安要素に対して「現場の雰囲気も1つの参考材料にしてください」という提案の意味も込められています。また、自分自身が単純に「制作会社で現場を“直接”で見れる所って少ないよなぁ」と感じたのも、現場の見える化を行った理由のひとつです。
今回これらの環境の変化に伴い、会社として様々なルールを策定する必要があります。言わば、新オフィスの使い方を始めとする来客や働き方に対する作法です。
ビジネスパーソンのスキルは本来、基礎力の上に技術力があるビラミッド上の仕組みになっています。弊社には普段クライアント先へ出向くことのないスタッフが多く存在しますが、そのような場合必要最低限のビジネス基礎さえあれば、後は技術力でカバーすることが可能だったりします。
しかし“見える現場”での働き方は、クライアント先へ出向く機会の無いスタッフからすると、世間一般的に当たり前なビジネス教養が必要でもあります。今はまだルール決めが曖昧な所もありますが、オフィスを含めた教育環境を仕組み化出来ないか、と模索しています。
環境づくりやブランディングで言ってしまえばトンマナになるのですが、ルールの境界線も曖昧で、つい間違った行動を取ってしまうケースもしばしば。
そんなチクチクと姑のように小言を並べるの中、ふとベテラン社員が誰にも気づかれないような小さな違反を行いました。おそらく実際に気づいていたのは私ぐらいで、その後にも先にもその行為を疑問視する声を聞いていません。
「まぁ、そういうこともあるよね。」
その瞬間はそう思いました。
しかし少しずつ時間が経過するに連れ、妙な違和感を覚え、自分の原体験と重なってきました。それは以前社内で常態化していた「忖度」の文化です。
勤続年数に応じて得られる、目に見えない「忖度」
自分が今の会社に入社したのは2012年。まだテレアポでホームページの契約を“GET”するのがメインサービスだった頃。弊社は今でこそ関西のWeb制作会社として位置付けていますが、その頃はホームページをただ販売するだけの“営業会社”でした。
会社としても階層型のヒエラルキー組織、評価や年収に関しても勤続年数に応じることが多く、長く勤めていればそれなりの年収が確約されていました。
入社して間もなく制作チームを率いる上司が仕事出来ないという事実に気付きます。制作者としての技術がない、という訳ではなく上司としての仕事ができないのです。
仕事がパンクしている人が居ても助けない(声を掛けない)。体調を崩してグッタリしている社員を見掛けても何も言わない(声を掛けない)。案件が炎上気味で進捗が危ういのに、自分の案件以外には興味を持たない(つまり、誰にも声を掛けない)。
ただ、人としては抜群に良い人です。象徴的な“良い人”を上司にする文化があったのかもしれません。
仕事のミスは誰にでもあるものですが、チームを率いる上司であれば部下のマネージメントは「責務」だと思っています。その責務に対し無関心な事に違和感を覚え、自分は新人の立場として代表に自分の思いを伝えました。社員20数名程の小さな会社です。直接代表に思いを伝えることで状況が変わるかもしれません。
しかし「そやねんなぁ〜」と共感してくれるだけで、何も状況は変わりませんでした。新人社員であった自分にとって、これは会社の忖度以外の何ものでもありませんでした。
これは比較的“末期”に近い状況かもしれませんが、会社におけるベテラン社員の行動は新人・若手社員に大きな印象を与えます。
ただ実際のところ、勤続年数を重ねるに連れて、自分も忖度される立場に変わって行きました。許容される立場でもあり無意識でしたが、今自分が代表になってみて思うのは「分からないでもない」ということ。
長年会社に尽力してくれている社員を“特別に思う”のは何ら不思議ではないと思います。しかし、結果としてこれらの小さな忖度が津波や雪崩のように大きな問題に繋がっているのであれば、許容すべきことではありません。
小さな会社の経営者が現場から離れられない原因はココなのかもしれません。
社員と会社の繋がりに最適解なんて存在しませんが、会社は個人にとってのエコシステムであるべきだと今はしみじみ思います。
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🕺🏻丸山享伸
Web制作会社(UNIONNET Inc.)代表。「はたらくを楽しく」したい小さな会社の経営者として、日々現場を通じて感じる組織のことや働き方に関する事を発信しています。興味のある方は気軽にフォローしてくださいね🔥
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