経営者のひとりごと

SNSで疲弊しない、自己肯定感の高め方

SNSで疲弊しない、自己肯定感の高め方

あるイベントでの、クリエイターさんとの会話。

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丸「ポートフォリオやブログ持ってないんですか?」
ク「SNSしかやってないですね。」
丸「普段の仕事を公開しようと思わないんですか?」
ク「自分はそんなに顕示欲、強くないので。」
丸「そうじゃなくて、公開した方が自分の市場価値分かってよくないですか?指名が来るかもしれないですし。」
ク「まだ世間に公開する程のスキルじゃないんで…」
丸「でもツイッター、ガンガンやってますよね?」
ク「あれは趣味と情報収集用です」
丸「せっかくならツイートしたらどうですか?ブログより気軽だし。」
ク「いやいや、ツイッターの方が余計に無理ですよー笑」
丸「え・・・そ、そうですか???」

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私はポートフォリオやブログなど、オンライン上に情報公開をする行為は自分の市場価値を図る最良の手段だと思っています。

キャリアパスにおいても要だと捉えています。

ここ数年の働き方の多様化で考察してみても、スキルや思考性をアウトプットすることに必然性を感じます。

実際、そのクリエイターさんの実績を拝見させていただきました。

私から見る分には“世間に公開するスキル”に十分値しました。

SNSもアクティブで情報発信力もあるので勿体無い気はしましたが、控えめな性格なのか、公開することへの心理的障壁や批判・レビューされる怖さがあるのかもしれません。

ただ・・・

「多くの人に注目されたい」「◯◯と思われたい」と、自己顕示することや承認欲求を持つ事に対して、マイナスイメージがあるように感じ取れました。

SNSが当たり前になった今、知人や職場以外の第三者にも、コストを掛けず自分の活動をアピールすることができます。

「〇〇と思われたい」欲求を満たすハードルは随分と下がりました。

しかしその反面、誰かと比較のしやすい(されやすい)環境になったとも言えます。

批判される様子や意見を抑えつけられる現場をオンライン上で目の辺りにしている世代からすると、〇〇と思われたい自己顕示欲や承認欲求はリスクなのかもしれません。

自分の日常や考えをSNSで発信することには抵抗がないけど、それはあくまで“一方通行が心地良い”

リアルの自分とオンライン上の自分の差分を埋める必要はなく、その距離感は保っておきたい、それが「仕事」であれば尚更のこと。

これがSNSネイティブとも呼べる世代であり、これからの時代のマナー、リスクヘッジなのでしょう。

強者の論理が渦巻く、オンライン上での「実名性」

リアルとオンラインの距離感で切り離せない話「オンラインでの実名性」。

フリーランスを筆頭にオンライン上で実名が活きる人は、何のわだかまりもなく実名を公開します。

そういう人は自分を売っていくことが集客や事業拡大に繋がる以上、ブログやSNSでの「何者であるか」を作れるかどうかが重要事項になります。

実名性・匿名性、オンラインではどちらが良いのか?

この議論については、デキビジでの勝間和代vsひろゆきの対談を覚えている方も多いのではないでしょうか。

デキビジ 勝間和代 vs ひろゆき対談
デキビジは、2010年4月25日から2012年3月31日までBSジャパンで放送されていたビジネスパーソンを対象にした情報番組。
番組のコンセプトは「デキるビジネスパーソンを目指す」ことにあり、翌日月曜日から活用できる情報を伝えている番組である。
2010年5月2日の放送分では、電子掲示板「2ちゃんねる」の開設者・初代管理者である西村博之との対談が行われた。その中では、インターネットでの「実名性」と「匿名性」などで白熱した議論が行われたが、番組終了後に勝間自身のブログが炎上しコメント欄が閉鎖された。後日、勝間が西村との対談の件で謝罪する形となった。

出典:Wikipedia

「匿名での誹謗中傷は許せないっ!もっと実名性の文化を助長した方がインターネットの世界が良くなるのでは?」という議論から色々拗れてますw

本件に触れると長くなるので割愛しますが、この頃が2010年。

当時と比べてもインターネットにおける実名・匿名の関係性に変化はありません(というよりも、どちらを選択するかは個人の自由です)。

が、ある部分には大きな変化が起こっています。

それは、情報量です。

当時に比べ、インターネット上の情報量は激増しています。

SNSネイティブな時代では、欲しい情報はすぐ手に入るようになり、言わばインフレ状態です。

反対に正しい情報にリーチするのが困難になり、今はユーザー側にリテラシーが求められる程です。

そこで起こってきた変化がオンライン上での「何を言うかより、誰がいうか」ニーズ。

「会社員だけど実名顔出しで◯◯を始めたら◯◯◯◯◯に!」

典型的な実名どや感。

何とも可笑しな話です。

批判やレビューへの怖さを体感している世代になればなるほど、実名公開で注目を浴びたがる。

これって承認欲求じゃないの?

承認欲求を持つことにマイナスイメージがあったはずなのに・・・と。

これまでは会社員が実名を晒した所で、生活に紐付けるファクターが何もありませんでした。

しかしパラレルワークが普及したことにより、個人が発信力を高めることで、生活を豊かに出来る可能性が出てきたのです。

SNSを始め、情報発信するブログも簡単に作れるし、何なら動画だって気軽に撮れる。

エンタメ要素を含んだコンテンツが誰でも作れるようになった事は大きいでしょう。

ただし、オンラインの活動で得たものがリアルでもそのまま還元されるようになったのも「実名の情報発信者のみが得られる特権」でしかなく、声なき声であるサイレント・マジョリティにとっては、ただのラベリングでしかありません。

結局のところ、実名・匿名は関係なくオンライン上では「嫌なら辞めればいい」という強者の論理しかないのです。

SNSネイティブが生んだ、自己肯定感のない人たち

マウントを取り合う世界の中で、自己肯定感が低くなってしまっている人をよく見かけます。

自分を肯定しない事は、自分を受け入れない事「現実に目を向けない事」と同義です。

比較の多いSNSネイティブな時代の中、自分なりの自己肯定感の高め方を持っているでしょうか。

自己肯定感は原体験から生まれると言われています。

幼少期の出来事や学生時代の成績、交友関係など「自分はこういう人だから」と自分で自分を決めつけてしまいます。

加えて、SNSネイティブであるが故に、ただスマホを眺めるだけでも常に誰かと比べ、消耗し、疲弊してしまいます。

  • SNSで周りの行動を見て、無力感や焦燥感を感じる
  • 「そんなの◯◯だから出来るんだよ」と妬んでしまう
  • 自分には到底出来っこない、と自信がない
  • どうせ批判されたり炎上するのがオチだ、と思ってしまう
  • ドヤ感や承認欲求が強い事はダサい行為と思っている

情報発信が簡単な分、批判されることも容易です。

発言力の大きな人で無くても「炎上」へのトリガーはどこにでもあり、つい行動に歯止めがかかってしまいます。

もはや原体験だけの問題でもありません。

言ってしまえば、自己肯定感が低くなりやすい時代と言えるでしょう。

ただし、注意すべき点で言えば「今は修行の時」「一人前になってから」と自己肯定感に対し謙遜する事を美化してはいけません。

また「自分はやれば出来る」と“能ある鷹は爪を隠す”に近い思わせぶりな言動をしても、単なる機会損失でしかありません。

今頑張って身につけているスキルもいずれ公開するものなのであれば、今すぐ発信すべきです。

行動することに意味があるのではなく、大切なことは手の届く範囲、手応えを感じる場所に身を置くことです。

“自分は一体どこに向かい、何を目標としているのか”

何かを批判することで自分を肯定しても意味がありません。自分の手の届く範囲でトライし続け、段階を踏んでいく事が重要です。

以前、人生が楽しくなるポイントに身を置くことの重要性をまとめた自分のアップデート環境をつくる9つの仕事所作という記事を書きました。

自己肯定感を正すことは現実に目を向ける・自分に向き合う事から始まります。

「自己肯定感の高め方」を正すこともまた、人生が楽しくなるポイントに身を置くことに繋がります。

以前、バンド活動をしている友人に“なぜ音楽活動をやるのか?”と聞いたことがあります。

彼はこう言いました。

自分でもよく分からないけど、バンドマンって自分で音楽を作った段階で本来ならそれでゴールだと思う。いわゆる自己満の世界。
なのに、それを多くの人に聞いて欲しい!となる。そしてライブをする。何なら儲けたい欲すら出てくる。これって欲張りだし、承認欲求の塊だよね。今はSNSやYouTubeもあるので、評価されるのも超簡単。
だから“なぜ音楽活動をやるのか”というよりも、いつの間にか常に欲していて辞められない状態になってる、という感覚が近いかも。

一見不器用に見えるけど、自己肯定感の高め方としてはかなり合理的な方法じゃないかと思っています。

好きこそものの上手なれ、とはよく言ったもので行動と欲求が一体になっています。

時代の流れを好機と捉えることが出来れば、より自然体でいられる環境をつくることも容易でしょう。

顕示欲だー、承認欲求だー、自己肯定感だー、と言いましたが・・・

肩肘張らず消耗しないように「楽しく」生活を送るだけでもクリア出来る問題も多いのかな、と思っています。

投稿者: Takanobu Maruyama

大阪でWeb制作会社「株式会社ユニオンネット」、高知の馬路村でデザイン事務所「ミトネデザイン」を運営。経営・人事・広報、たまに制作者でもある香川県生まれ3児の父です。
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