経営者のひとりごと

自分のアップデート環境をつくる「9つの仕事所作」

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先日、フリーで活動しているアートディレクターさんと仕事や生活スタイルについて語る機会がありました。「人生が楽しくなるポイントに身を置くことって大切だよねー」と盛り上がりました。

その方は、今後はフリーとしてではなく、企業に属しチーム体制でより大きなクリエイティブを実現していきたいとの事でした。業界でも10年以上キャリアを積まれた方で、現在色々な企業から声がかかっているようですが、次に入社する企業のポイントとしては自分らしい生活を送り、自身としてアップデートできる環境かどうか、だそうです。

もちろん全ては楽しい人生を送るため。仕事ありきの日常・日常ありきの仕事、双方の摩擦がもっとも少なくシナジー生まれる会社であるかどうかが重要とのことでした。

誰しも仕事と日常の生活環境はクロスオーバーしています。

自分の中でも仕事をする上で「楽しくあるために」は大きな判断基準です。人生が楽しくなるポイントに身を置くということは、アスリートで言う“心技体を整える”同様、どれが欠けても全体の歯車がうまく回らなくなります。そして結果として、自身がアップデートできない環境に陥ってしまいます。

努力なくして潤沢すぎる日々はあり得ませんし、その逆もしかり。

昨今IT業界で囁かれている“Slerは終わっている”も、キャリア構築の観点で言えば自分でアップデートできる人かどうかは「◯◯のコードを速く書けます」よりも大切な事と言われています。その自分を仕上げるブルペンのような環境を作る事が、今のビジネスマンに求められるスキルではないかと考えています。(ヒューマンスキルにもなるかも)

そこで今回「自分のアップデート環境をつくる9つの仕事所作」を紹介していきたいと思います。すべての方に当てはまる事項ではないかもしれませんが、自身のスタイルに合わせて美味しいとこ取りしていただければと思っています。

1. メールやチャットは即レス

超基本的なことですが、案外出来ない人が多い「即レス」。もちろん全ての連絡に対して即レスをしないといけないわけではありません。9割の連絡には即レスするようにするだけです。(え?あ・・・はい、ほぼ全てです笑)

昔から仕事(メール)の返事は15分以内にしろ!なんてよく聞くビジネスフレーズですよね。100点の仕事をするのではなく80点の仕上がりにしろ、も。今回はその意味ではありません。即レスの重要性は、普段の生活リズムを考えると理解しやすいかと思います。

友人と映画を観に行く予定でLINEをしている際、返信のテンポが悪いとどう思いますか?「ついさっきまで既読になってたのに」「6時間後に返信されても何言おうとしてたか忘れちゃったよ。。。」という経験はありませんか?

要はリアルタイムネイティブなのです。

家族・恋人・友人とのやり取りは即時連絡可能なLINEです。SNSもタイムラインという時系列型式です。(完璧にではありませんが)
日常から返信をタスクとしてリアルタイム消化しているのに、仕事のタスクだけは(返信として)消化しないというのは、非常にストレスです。

普段の業務で高いパフォーマンスを発揮するために、メールやチャットなどの「確認」「判断」などの意思表示は即座にタスク完了させましょう。

人は直後の事であれば判断も早くなります。考える時間は必要最小限に仕事所作を整えるようにしていきましょう。

そもそもメールやチャットの返信は基本的に “面白くない作業” なので「さっさと終わらせる」意識も重要かと思います笑

2. コンプライアンス基準を持つ

既に会社で基準を設けている場合は、それほど必要ではないことかもしれませんが、情報のデジタル化が普及した今、自分なりのコンプライアンス基準を持つことは自身の仕事所作を整えることに大きく繋がります。

実態として、私達のWEB業界はデジタル業務がメインなのですが、案外この辺りがザルな会社がまだまだ多いです。(現場系の仕事の方がしっかりしてるケースの方が多い!)

例えば
その場のノリで社外秘資料を見せてくれたり、契約書や要件定義書なしで仕事を進めようとしたり、データ管理は全てデスクトップだったり・・・等など、仕事品質に対しての粗さが目立つことが往々にしてあります。

スタッフの行き過ぎた言動により、SNSで炎上する事もこのケースに当てはまるかもしれませんね。スタートトゥデイの田端さんのように “サラリーマンなのにSNSで炎上してもクビにならない” という新境地の開拓者は別ですが笑

ただ、その場合でもデッドラインを理解しているから踏み込めるものだと思います。もちろん時にははみ出すこともあった方が人間味があって面白いのすが、自分なりの基準を持つことでブレにくい意志を持つことはデジタルコンテンツ時代には不可欠な事でしょう。

3. 会社批判・愚痴・クライアントの悪口NG

単純明快、個々のネガティブ要素にはまったくの意味がありません。

① 会社批判
→ まず自分で変えてみろ、無理なら自分の意見が通るくらい結果出せ
② 愚痴
→ 他事で自己処理して。聞いてる側は実りがないので帰ってよし
② 悪口
→ 心の声は漏れる、そして仕事の質が落ちる

勘違いしてはダメなのは、我慢しろというわけではありません。ネガティブ感情が出てしまう環境に、今自分がいることを深く理解しよう、ということです。

まずはそこからで各々の行為がNGなのではなく、この状況下で「自分らしい生活」「楽しい人生」を実現させることは極めて難しいです。仕事所作うんぬんの前にスタート地点にも立つことが出来ませんので注意しましょう。

4. 感じた事は必ずアウトプットする

これは未来に繋がる自分資産を増やす作業みたいなものです。日頃の気付きはメモしたりツイートしたり、ブログに書き起こしたりと何らかのログ化するようにしましょう。

今はブログやWEBサイト(ポートフォリオ)の利用障壁はかなり低くなっています。むしろツイートひとつでも自身を形成するコンテンツとしても十分な程になっています。

例えば、SHOWROOMの前田さんはメモ魔で有名ですが、メモをすることは「 “自分にしかない視点” を見つけ出すカギ」と表現しています。

【前田裕二】日常すべてがビジネスアイデアに変わる戦略的メモ術
https://newspicks.com/news/3203977/body/

(うまいこと言いますね!)

私の場合、アプトプットすることを習慣ではなく“所作”と表現するのは、情報を発信することは「これからの正しい働き方」だと考えているからです。できない人が習慣化するのではなく、マストになるから。ここで疑問になってくるのが、なぜ発信しないとダメなのか、ということ。世間にはロム専が存在します。それらを否定することになるのか?焦点はそこになるでしょう。

ロム専が悪いわけではありません。ただリング外から眺める景色とリング上の景色は必ずしも一致しない、ということです。

情報のコアな部分に触れた時の手触り感、情報を発信した時に感じる肌さわり感、この両側面を体感しておくこともまた、自身をアップデートさせる環境構築へのマスト事項なのです。

5. 目先の事を考えない(楽観視する)

これは「頭でわかってはいるものの、現実問題なかなか難しい問題」の代表格ではないかと思います。

本質としてはやる前から計画を練り込むなということです。物事がどうなるかなんて誰にも変わり得ないことだし、環境の変化を恐れて行動力が鈍化することこそ勿体無いこと。

これが仕事の所作に繋がるのか?と思うかもしれませんが、「1. メールやチャットは即レス」にも通じることです。

例えば
知人で今年の夏に結婚をし、秋に出産を控えた者がいます。インドア派で休日は家に引きこもりがちでコレといった趣味もなく、あまり外部からのインプット要素を持ちません。なので普段のアウトプットもほとんどありません。(休日何するの?に対して「特に…」というタイプ)

しかし彼はクリエイターです。業界3年目といったところでしょうか。一人前にはなったのですが、ここからは彼なりのエッジを効かせるフェーズではないかと考えています。そこで必要なのは当然「行動する」こと。

家庭環境に変化もあるため、大きなチャレンジが出来ないことは理解できます(私も2児の父ですし)。しかし、規模は小さくても行動することは無限に存在します。時間は有限ですが、本当に家庭のことを考えるのであれば尚更自身のキャリア戦略を練り直すべきではないか、と思っています。

悩ましい問題ではあるのですが、世界にひとつしかない難題ではありません。出産を期に行動範囲が狭くなることなんで、何万とよく聞く問題だと思います。大きなボトルネックだけ解決し、あとは考えない。これがベストアンサーではないかと思っています。

「行動する」ではなく「目先の事を考えない」と定義つけているのはそのためです。

ただし、注意点としてポジティブ過ぎるのもよくないと思っています。死ぬこと以外はかすり傷、と言いますが、かすり傷で死んじゃう程のバイタリティーの可能性もありますし、何も学ばない・無知だというのは時間の浪費です。

馬鹿と阿呆の違いみたいなもので、ジムキャリー主演の映画「イエスマン」のようなものです。

映画「イエスマン」ざっくり一文解説
人付き合いの悪い男が “イエスマンは人生がハッピーになるよー” って自己啓発セミナーに行って、試しにイエスマンやってみたら、人生が一気に好転しちゃってウハウハだったんだけど、結局一過性のもので、最終的には気のせいだった、という話。

(詳細はWikipediaを参照)

個人的には “3分考えて行動しない答えが出ないもの” は、今の自分には判断できないこと、という解釈で気にせずやってみて良いんじゃないでしょうか。

業務で「目先のことを考えない」「楽観視しろ」。これが仕事の所作を整えることに本当に繋がるのか?そう思うかもしれません。

ズバリ、考えすぎです。

失敗を恐れ安牌をとっても、何も得るものはありません。目先のことは考え過ぎずに、多くの失敗をして経験値を重ねていきましょう。

※極論で言えば堀江さん(@takapon_jp)のような脊髄反射レベルが究極の理想形

6. 読書を欠かさない

ビジネスマンたるもの本を読め。おそらく誰しも一度は言われたことがある言葉ではないでしょうか。時事ネタは当たり前だぞ!ニュースを見ろ、日経読め、昨日のガイアの夜明けは観たか?・・・等など。

個人的には「そうじゃないだろ」と思っています。

ニュースを見る、日経を読む、もちろん素晴らしい事ですし活きる場所もたくさんあるでしょう。しかし目的として「・・・で、何するの?」がゴールにあります。その場合、ニュースや日経のネタでは分野が広く業務と交わらないことや情報が薄い、という可能性があります。

ただでさえ情報の多い社会です。正しい情報にまで辿りつくことすら難しくなってきています。ただ闇雲にインプットするよりも自分の欲しい情報だけを取捨選択し抽出すべきだと考えています。

SNSで言えば情報を収集し過ぎるとパフォーマンスが落ちる場合もあります。

またインプットからアウトプットにかけての工程の中で気持ちが変わってしまうケースもあります。

例えば
記事に対してのコメントがメインコンテンツとなっているNewsPicks。私自身もよく見るメディアなのですが、多くの意見が入ることで自分の感情を捻じ曲げてしまうことがあります。

記事を読み「自分はAだと思うなぁ」と感想を抱きます。コメント欄で自分の好きな著名人が「Bの方が将来性があるね」と見解。すると結果「そうかぁ〜、Bかぁ〜」と自分の意見を流す。

SNSでも自分が共感してシェアしたものの、数分して別の人が反対意見でシェアをしたら、内心そちらの方が強く共感している時の感覚。多くの方は経験があることではないでしょうか。これらは自分の所感が薄れ、経験値を積むきっかけを喪失してしまうことにも繋がると思っています。(個人的にNewsPicksは“答え合わせ”のような感覚で使ってます)

その分
書籍というものは当たり外れはあるものの、必ず軸があり答えがあります。そして意見は自分の中にしかありません(厳密には“レビュー”がありますが、自分から覗かない限り目に入ることはありません)。

ピンポイントで情報をインプットすることは、読書による気付きからアウトプットまでが一貫しているということです。

また「欠かさない」というとペースが難しいのですが、まずは1ヶ月に1冊で良いので「自身をアップデートするための下準備」をしていくことをオススメします。

7. (体を動かして)汗をかく

冒頭に「人生が楽しくなるポイントに身を置くということは、アスリートで言う“心技体を整える”ことに似ている」と触れましたが、これはその「体」の部分です。

ここでは汗をかくと表現していますが、要は健康管理のこと。個人事業主や経営者の方でジム通いをしている方は非常に多いです。これはシンプルに身体資本だから。常に健康でいることこそが、何よりも健全な経営体制に繋がるからです。

特にデスクワーク中心で残業続きの方。帰宅時間も遅く、忙殺される日々を過ごしている方。非常に注意が必要です。心が病むとやる気がなくなるのと同様、身体が鈍ると活力が生まれません。

よくある話ですが
人間は日光を浴びることでビタミンが分泌されます。このビタミンが分泌されることで記憶力・思考力が高まり、日々の生活に活力が生まれるのです。反対に、日光を浴びない場合。地下に人を閉じ込め、奴隷のように働かせる原理ですが、人は日光を浴びないと物事の判断が鈍くなっていきます。つまり従順になるのです。

「え?じゃあジムじゃダメなの???」

と思った方、大丈夫。あくまで一例です笑

極端に高める必要は特にありませんが、常に自分自身の体調をニュートラルな状態にしておく。スポンジでいうところの乾いた状態を作り上げることが、日頃の業務を正確にこなすためには必要不可欠なのです。

8.充分な睡眠を死守する

身体づくりとセットになる大切な要素「睡眠」。Amazonの創業者、ジェフ・ベゾスやテスラ・モーターズのイーロン・マスクもロングスリーパーで有名ですよね。実際のところ、充分な睡眠を確保することには2つの効果があります。

まず1つはパフォーマンスの保持。つまり「眠くならない」ってことです。当たり前なんですが、睡眠の質が向上することで、いつも高い水準で業務に携わることが出来ます。(昨日8時間も寝たのに、なぜか今日は眠いなぁ…って時もありますけどね)

2つ目は仕事のメリハリ。ビジネスマンの中で充分な睡眠時間を確保できない一番の理由は残業、厳密には“残業癖”です。「そんなこと言ったって忙しいんだよ!」と言いたくなる気持ちも分かりますが、これが悪循環なのです。本当に大切なのは、あなたの仕事よりも、あなたの身体の方。仕事ありきの生活になっていませんか?ということです。

人生の中での睡眠時間は「死守」しなければなりません。充分な睡眠はパフォーマンスを保持させ、質の高い仕事を生み出します。そして結果として自身のスキルとなり、キャリアとなります。

反対にこの2つが欠如していると想像してみてください。パフォーマンスは低下し、仕事にもメリハリがなく残業は当たり前になっている。とてもじゃありませんが仕事の所作が整っているとは言い難いですよね。

睡眠を基準に業務を進めることは、タイムマネージメントを強く意識することであり、業務にメリハリをもたらします。「汗をかく」健康管理と通ずる内容ではありますが、睡眠もまた自身をアップデートするため重要事項なのです。

9. 家庭ファースト

一見仕事とは関係のない話に感じるかもしれませんが、今のあなたを形成しているのは、あなたの周りにいる人達です。仕事の場合、職場・取引先などピンポイントでの付き合いですが、家庭は生活において四六時中関係性があります。(家庭と言ってますが、もちろん“大切な人”でもOK)

つまり、家庭を大切にすることは環境づくりの心技体においての「心」に最も影響することであり、精神衛生を保つことに繋がるのです。

呼吸をするように仕事ができる環境をつくろう

呼吸をするように仕事ができる環境をつくろう

いかがでしたか?
紹介した事項はいずれも自身をアップデートさせる施策ではなく、アップデートするための前提です。仕事の所作を整えることは、働き方を正すことと同義。iPhoneもWi-Fiが繋がらないとアップデート出来ませんよね。それと同じでまずは「Wi-Fi環境を作ろうよ!」という事です。

自分らしく働く、ということは日常レベルに摩擦がほとんどない状態に等しく、人生が楽しくなるポイントに身を置くことは、アップデートしやすい環境だということ。今回紹介した仕事所作を整える9つの事項は2018年8月現在、今の私にとって楽しい人生を送るためには外せない事項となっています。

自身をもうひとつ上のステージに引き上げたいとお考えの方、まずは下準備・原点回帰として仕事の所作を整えてみてください。

投稿者: Takanobu Maruyama

大阪でWeb制作会社「株式会社ユニオンネット」、高知の馬路村でデザイン事務所「ミトネデザイン」を運営。経営・人事・広報、たまに制作者でもある香川県生まれ3児の父です。
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